院長コラム

泌尿器科専門医、性感染症学会認定医の若月院長からのお知らせや、アドヴァイスなど随時掲載いたします。

前立腺炎

前立腺炎


 前立腺は男性の性器のひとつで、膀胱の出口に尿道を取り巻くようにあり、精液の一部を作っています。高齢になると前立腺癌や前立腺肥大症が多くなりますが、若い人では前立腺炎が多くなります。

A 症状 

 急性前立腺炎では発熱と風邪のような全身の症状、排尿痛、頻尿、残尿感、下腹部不快感などで、風邪と間違われることもよくあります。慢性前立腺炎では痛みや不快感が股間部、睾丸、陰茎、下腹部、鼠径部、殿部から大腿部などに感じられます。頻尿や残尿感、尿切れが悪く、排尿後に下着が汚れる。尿が漏れてないが、漏れているような感じがする。このほかにも、射精時の痛み、射精後の痛み、などいろいろな症状があります。

B 診断

 急性前立腺炎では、直腸診で前立腺が大きくなり、疼痛、熱感があり、尿検査で白血球や細菌が証明されます。慢性では前立腺に痛みがあり、前立腺をマッサージしたあとで尿を調べると白血球や細菌が証明されることがあります。白血球や細菌が証明できず、前立腺の痛みだけで診断をする場合もありますが、確定が困難となります。前立腺超音波検査、尿流量測定、残尿測定などが必要になることもあります。40歳以上ではPSA(前立腺の腫瘍マーカー)を検査することもあります。

C 原因と分類

 1 細菌性急性前立腺炎 

大腸菌などが原因でおこると風邪を引いたような症状があって、発熱があり、頻尿や排尿痛などが起こります。尿道から細菌が入って起こりますが、大腸菌などの腸内細菌は性感染症ではありません。性感染のクラミジアなどの尿道炎が原因の場合は、特に自覚症状はなく精液に膿や血液が混じるだけの場合もありますが、排尿時の痛みや不快感のあることもあります。

 2 細菌性慢性前立腺炎

a 急性前立腺炎から慢性に移行した場合。

b 急性の症状がなく、前立腺マッサージの後の尿検査で、白血球や細菌が証明されて診断される場合。

 3 非細菌性慢性前立腺炎 

a 抗生物質が有効で、細菌が原因と考えられるが、一般細菌が検出されない。(淋菌、クラミジアやマイコプラズマなどの性感染症で菌が検出できない)

b 結核菌が原因で、通常の細菌検査ではわからないが、特殊な培養検査では検出できる。

c 白血球は確認できて炎症があるが、細菌性ではなく抗生物質が無効。

 4 前立腺症  
a 循環障害 

b 神経圧迫(陰部神経など) 

c 筋痛症(骨盤底筋群など)など

慢性前立腺炎と同じような症状であるが、炎症ではない。

 5 類似疾患
a 神経因性膀胱 

b 神経性頻尿 

c 間質性膀胱炎 

d 膀胱頸部硬化症 

e 尿道狭窄 

f 精索静脈瘤  など

治療
 急性前立腺炎では、感受性のある抗菌剤で前立腺に移行のよいものを使用します。ニューキノロン、ミノマイマイシン、ペニシリン、ファロム、オラセフやケフレックスなど。ただし、痛みや発熱がつよく鎮痛解熱剤を使用する場合にはニューキノロン系は避けたほうが安全です。2-3週間の治療が必要ですが、前立腺マッサージ後の尿で完治を確認する必要があります。
 慢性前立腺炎でも同様の抗菌剤が有効ですが、以前有効とされていたバクタは現在は適応症がなく使用できません。
 抗菌剤が無効の場合には、セルニルトンやいろいろな漢方薬、鎮痛剤などが使用されます。類似疾患の場合には、排尿状態の改善などが必要なこともあります。慢性前立腺炎や、前立腺症では診断や治療に時間がかかりますが、最終的には治癒や軽快状態となると考えています。

大阪市北区の泌尿器科 若月クリニック院長より

ドクター若月疾患名解説

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